ロジカルな人は敢えて相反する事を同時に言う
相反する事とは
例えば、同じ人がある事象に対し、相反する事を言った場合、どういう印象をお持ちでしょうか。言われた方としては、それがもし指示だった場合、「以前言われたことと違う。」「聞く度に言うことが違う。」「朝令暮改だ!」という印象を受けるかもしれません。多くの人はこのように、どちらかというとネガティブな印象をお持ちだと思います。しかし、本当にロジカルな人はこの相反する事を敢えて同時に言う場合があります。今回はこの、一見違和感を覚える内容について、説明したいと思います。
相反する事を同時に言う(NG編)
健さんさ、あたしが今抱えている作業、社長からコスト低減の対象だって言われたの。だからそのデータ作成業務、単金の安いあなたがやればいいと思うんだけど。
いきなり失礼だし、やったことないんで僕がやったら倍の時間掛かりますよ!!
えー、でもあなたの方が安いんだから私と同じ速度で出来るように今から練習しておいてよ!
そんな無茶な!!
これは「コスト減」って言っているのに、コスト増になるような話に帰着してしまっているから悪い例なんだね。
相反する事を同時に言う(ギリOK編)
健さんさ、あたしが今抱えている作業、社長からコスト低減の対象だって言われたの。だからそのデータ作成業務、単金の安いあなたがやればいいと思うんだけど。
いきなり失礼だし、やったことないんで僕がやったら倍の時間掛かりますよ!!
ごめんなさい、説明が足りなかったわ。勿論、最初は2倍の時間が掛かってコスト増になるかもしれないけど、1か月もすれば同じ速度に出来ると思うの。それは過去引き継いだ実績の計測数値を見ればわかるわ。
うーん。
でね、コスト低減という社長からのお題目って、別にこの業務だけを言っている訳じゃないと思うの。私は他にもっと時間が掛かる作業を抱えていて、一旦今回調整した空き時間で自動化ツールを作ろうと思う。そしたらそちらのコスト低減にもなるし、実はこのツール、あなたがやっている別の集計業務にも転用が効くから、完成したらあなたの業務削減にもなるわ。
そういう事であれば納得しました。やってみましょう!
これは「コスト減」というテーマに対し、コスト増を一時的なものとして扱い、且つスコープを広げることで全体としてのコスト減を狙った話にしているからOKなんだね。
相反することを同時にいう切り口
今回の例は、スコープを拡げる、視野を拡げるというアプローチでしたが、相反することを同時に成立させるのは、これだけではありません。観点は他に、
・視座を変える(現場視点から経営視点へ)
・時間軸を拡げる(短期ではなく、中長期的な軸へ)
・立場を変える(自社と顧客、自社とパートナーなど、主語を別に)
・理由を深堀りして真因基準でアプローチを変える(真因からのピボットはOK)
・AS-ISからTO-BEに(現場常識から一旦離れる)
など、色々な種類があります。
相反することを同時に言うには、成立している軸が必要
相反することを同時に言うには、軸がぶれていないという前提条件が必須です。きちんと軸をロジカルに成立させた上で活用しましょう。
例の自動化ツールどうなりました?(ワクワク)
ん?あー。作りたかったなぁ。実に作りたかった!
酷い!ひとでなし!!
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