知識と見識の違い、そして胆識へ
君子と呼べる人、仕事がデキる人、頭の良い人を浮かべて下さい。
そのように問われると今まで出会った中、またはメディアで見た中で、何人かの人を想像すると思います。
その中で多いのが、「知識が豊富でそれをアウトプットするのが上手な人」を想像するケースです。
勿論、そういった人に一定の能力が備わっていることは確かですが、本当にそういった人を君子と呼べるのでしょうか。
君子(くんーし)
1 学識・人格ともにすぐれた、りっぱな人。人格者。「聖人君子」
2 高位・高官の人。
3 東洋画の画題としての、梅・竹・蘭(らん)・菊のこと。四君子(しくんし)。出展:デジタル大辞泉(小学館)
知識人が溢れる現代
インターネットとIT機器の爆発的普及で情報へのアクセスが容易になった現代、知識の習得に関してはインターネットの登場以前に比べ、劇的に早く、そして情報量も多くなりました。
その恩恵もあってか、知識豊富な人は非常に多くなりました。
一方、知識が多い=優秀と勘違いしてしまう自称知識人が多いですね。知識だけでは、信念や行動力が伴いません。
知識と見識の違い
では、知識の先、見識というものを紹介しましょう。
見識(けんーしき)
1 物事を深く見通し、本質をとらえる、すぐれた判断力。ある物事に対する確かな考えや意見。識見。「見識を備えた人物」
2 気位(きぐらい)。みえ。「彼女はいやに見識が高い」出展:コトバンク
何かを取り組む時、または課題を解決しようという時に、単に知識で判断するのではなく、これまでの人生経験、培った人格、経験から得た悟りなどが活かされていくのが見識というものです。
先日始まったマダムの愛犬の犬小屋を作るプロジェクトの進捗が思わしくありません。
遅れなんて許さないわよ!誰かリカバリ案を提示しなさい!
こういう時は追加コストを投入するクラッシングか、次の工程を現工程に重ねるファストトラッキングが有効ではないでしょうかね。クラッシングというのは…
講釈垂れていないで、どうしたらいいのよ!
ファストトラッキングも手としてはあるけど、マダム案件は仕様変更や修正が頻発する傾向もあるし、工程を重ねると低品質な犬小屋になる可能性がありますね。まずは追加コストの投入で一旦外観制作をキチっと終わらせる方が先決です。
いいわよ。じゃあコスト追加してちょうだい!
見識の先、胆識が必要となってくる
見識まではぼんやりと理解が出来たと思います。
見識で出した答えや解決策は、知識人やらには不評で、反対勢力が現れることがしばしばあります。
この反対や妨害を排除し、やり切る力を持った見識を胆識といいます。
胆識(たんーしき)
胆識とは決断力、実行力を有した見識のこと。 それは自身の信念に基づいて判断したときに是であったならば、如何なる困難があろうとも遂行し続ける強さである。 失敗するとしても、やるべきだと判断したならば実行するのが胆識。 ただし、見識を有することが前提なので無謀であることとは異なる。
で、リカバリは出来たの?
リカバリしたかったです!
出来てないの!?もう!誰かやり切りなさい!
犬小屋案件なら私に任せて!もう人の手配と依頼までやっておいたわ!あと、講釈垂れていた銀七先生にはちょっと南の島へバカンスに行ってもらうことにしたわ。
小娘だと思ったら結構やるわね。
胆識人になるには
胆識の必要性や概念は知ることが出来ました。
しかし、これこそまだ知識としての習得でしかありません。
これを発揮していく為に取り組むべきポイントを紹介していきましょう。
胆識人になる為に取り組むべきポイント
1.知識は継続して学習する
知識人を揶揄するようなことも書きましたが、ベースとなる体系だった知識というのは当然必要です。実行力や心構えだけがあっても、理論が無いと複雑性を低減することが出来ません。
また、知識を得ることで、目の前の事象を属人的なものではなく捉えられるようになり、仕組みの改善に繋げられるようになります。
2.自分が当事者となって経験する
成功でも失敗でも構いませんが、自らが当事者となって経験することで、知識を見識化することが出来ます。またそれを通じて実行する事の難しさを知ることが出来るでしょう。
見識化すると、新しい事象や問題にも根本的な部分での繋がりを既知または経験済みのものと紐づけすることができるようになります。
3.やり切るところまで拘る
やり切る力を胆識と表現しました。
一見簡単なことでも、最後までやり切るのは労力を要します。なぜなら、このやり切るというのは自分だけではなく、関係する自分以外のメンバーにもやらせるということにもなるからです。
この、難しさを打破する力を以って、胆識が備わったと言えます。
胆識人になるには
評論家になりたいのであれば別ですが、リーダーとしてメンバーをけん引していく立場になるのであれば、胆識は備えるべき必要要素と言えます。
知識人に留まらぬよう、大切な原理・原則は理屈を言い合うだけではなく、実践を通して身につけていきましょう。
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