交渉術と人間関係
「交渉術」と「良好な人間関係」、一見相反するキーワードに見えますが、実は良好な人間関係を築く上で非常に重要な要素だといえます。
- なんでギクシャクしてしまうんだろう
- こんなに頑張っているのに理解されないなんてきっと相手が悪い
- 自分ばっかり損している
人間関係でこんな風に感じる瞬間があるとすれば、それはもしかしたら交渉術を知ることで良い方向に向かうかもしれません。
今回は、ダブルバインドという交渉術を知り、これを応用したケースをお伝えします。
例えば、こんな経験は無いでしょうか?
交渉術を知らないケース
ギクシャクする会話
君のところの部下ね、今度始まるAプロジェクトに入れようと思ってるから、調整よろしく。決定事項と思ってもらっていいよ。
(参ったなぁ…。本人はBプロジェクトでアプリ開発のメンバーやりたいって言ってたし、この前の業績面談では案件決まってなかったから「出来るだけその方向で調整してみる」って話したところなんだよな…。まぁ決定事項だからどうしようもないよね。一応聞いてみるか。)
実はBプロジェクトの開発メンバーに入れたいとも思ってたんですけど、AかBだと優先順位はどっちが高そうですかね。
何言っちゃてるんだ。そりゃBだよ。あのプロジェクトは全社的に注目されてるし。
わかりました。調整してみます。
先輩、おはようございます。
おはよう、そうそう先日セロタイさんから言われたんだけど、君の次のプロジェクトな、Aって決まったらしいんだよね。
え、そうなんですか!?でもこの前はBの開発メンバーで調整してくれるって言ってたじゃないですか。
そうなんだけどね、決定事項だからしかたないよ。どうする?
どうするって…。指示ですよね。Bって言ったらどうするんですか。
・・・・。
まぁわかりました…。
業務上の指示命令は基本的に従わざるを得ません。本人の希望を出来るだけ叶えてあげようと思っていたのに、上位上司の鶴の一声で決まったアサイン。本人も期待していた分、落胆してしまいました。
こういったケースにおいて、「人間関係を良好に保つ」という事で、ダブルバインドというテクニックが活かせます。
例を見せる前に、このテクニックの根底にある原理をお伝えします。
ざっくり言うと、「1度に2つの選択肢を出すことで相手は、そのどちらかを選ばざるを得ない」ということです。
ダブルバインド(Double bind)とは、ある人が、メッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーション状況におかれること。この用語はグレゴリー・ベイトソンによる造語である。 bind・・・拘束する
交渉術を知っているケース
人間関係が良好なケース
君のところの部下ね、今度始まるAプロジェクトに入れようと思ってるから、調整よろしく。決定事項と思ってもらっていいよ。
(参ったなぁ…。本人はBプロジェクトでアプリ開発のメンバーやりたいって言ってたし、この前の業績面談では案件決まってなかったから「出来るだけその方向で調整してみる」って話したところなんだよな…。決定事項かもしれないけどそもそもその真意って…。)
実はBプロジェクトの開発に入れたいとも思ってたんですよね。そっちであればリーダー職も出来て、今後、彼女がまわせるプロジェクトの規模も増えると思うんですよ。Aのメンバーとして参画するのもプロジェクトの優先順位としては高いと理解してます。
なるほどね、Bなら配下にメンバーをつけて動かす経験もするのか。ただ、やっぱり全社的に優先度の高いプロジェクトに入れたいなあ。
わかりました。調整してみます。
~数日後~
先輩、おはようございます。
おはよう、そうそう先日セロタイさんと話していたんだけど、Aプロジェクトに入って欲しいみたいなんだよね。
え、そうなんですか!?でもこの前はBの開発メンバーで調整してくれるって言ってたじゃないですか。
そうなんだけどね、例えばAであれば開発メンバーとして今の力は発揮できると思うけど、Bならリーダーとしての役回りも当然必要になるのはわかるよね?規模的に。
たしかに、役回りが増えそうな気はしてましたが、私はまだ開発としてのベーススキルをつけたいとも思っているんですよね。
リーダー職も経験できるBと、ベーススキルを更に付けられるAって感じかな。まぁでも組織の指示としては現時点でAだよ。
なるほど、わかりました。私のキャリアも含めて考えて下さってるのもわかったので大丈夫です!
まとめ
ギクシャクしたケース、良好なケース、両方とも最終的にはAプロジェクトへの参画をお願いしていますが、こんなにも後輩との関係性に変化が出ました。人間関係がうまくいっていない時は仕事の分担にも影響が出ますよね。
ぜひ、そうならないように交渉術の原理を知って、より良い人間関係を築きましょう!
注意:真実でないことを使って騙すようなことはしちゃダメですよ
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