「交渉術」と「良好な人間関係」、一見相反するキーワードに見えますが、実は良好な人間関係を築く上で非常に重要な要素だといえます。
- なんでギクシャクしてしまうんだろう
- こんなに頑張っているのに理解されないなんてきっと相手が悪い
- 自分ばっかり損している
人間関係でこんな風に感じる瞬間があるとすれば、それはもしかしたら交渉術を知ることで良い方向に向かうかもしれません。
今回は、フット・イン・ザ・ドアという交渉術を知り、これを応用したケースをお伝えします。
例えば、こんな経験は無いでしょうか?
ギクシャクするケース
先輩、お疲れ様です。
お疲れ様、そうそう。お願いがあるんだけど、来週ある幹部会議の資料を作って欲しいんだよね。
え、幹部会議資料ですか。私幹部会議になんて出たことないんで何を準備すれば良いかわからないですけど…。
ほら、いつも週次で出してくれているマネージャー会議で作る取引額推移の資料あるでしょ?あれをアクションプラン含めてまとめる感じだからさ!
はぁ…、なんかイメージわかないし、いきなり幹部会議の資料なんて荷が重いんですけど…。
まぁそう言わずに、よろしく頼むよ。
後輩の彼女はなぜ拒否反応を起こしたのでしょうか。来週までの仕事が詰まっていて今忙しいとか、そういった事情も色々とあると思いますが、このケースでいうと「幹部会議」というところに一番反応したのかもしれません。自分が出ていない会議で、雰囲気も普段使っている資料もどのようなものがあるかわからない中で、難易度の高い要求だと感じてしまっていた可能性があります。
こういったケースにおいて「人間関係を良好に保つ」という事で、フット・イン・ザ・ドアというテクニックが活かせます。
例を見せる前に、このテクニックの根底にある原理をお伝えします。
ざっくり言うと、「1度要求を飲んでしまうと次の要求が断りにくくなるという人間の性質」のことです。
■一貫性の原理(wikipedia)
人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理が働く。この心理を「一貫性の原理」と呼ぶ。この心理の根底には、一貫性を保つことは社会生活において他者から高い評価を受けるという考え、複雑な要因の絡み合った社会生活での将来的な行動決定においてより簡易に行動を決定することができるなどの要因があるといわれる。
例えば買い続けている月刊誌が内容が面白くないと感じても、新刊が出るとつい買ってしまったり、好きな歌手のCDだからという理由だけで買ってしまうという行動などである。また一旦観だした映画はたとえ途中で面白くないと感じた場合でも、最後まで見てしまうなどなどが例として挙げられる。
「自らが何らかの物事にかかわりを持っている」場合と「他人に注目されている」場合には特に一貫性の原理が働きやすい。前者では人から手伝いを頼まれ引き受けると2度目以降も断りにくくなるといった例、後者では禁煙を実行する際に一人でするよりは家族や友人、同じ目的を持つサークルなどの中で宣言して行う場合のほうが成功しやすいなどがあげられる。
最初に小さな要求を相手に受けてもらうことで、こちらの最終的な要求を相手が承諾しやすくなるというものです、
では、先ほどのケースでこのテクニックを応用してみましょう。
人間関係が良好なケース
先輩、お疲れ様です。
お疲れ様、そうそう。お願いがあるんだけど、いつも出しているマネージャー会議の取引額推移の資料あるでしょう?あれのさ、明細を地域別と顧客業種別にサマリすることってお願いできる?
あー、あの資料ですか。明細をサマるのはすぐ出来ると思いますよ!
ありがとう!実はあれをいつも幹部会議資料に使っているんだよね。そのサマった資料に各部門の予算達成に向けたアクションプランを集めて書いて貰えれば完成だからお願いできるかな。
各部門からアクションプランを集めるんですね。了解しました!
よろしく~。
ギクシャクしたケース、良好なケース、両方とも最終的には幹部会議資料の準備をお願いしていますが、こんなにも後輩との関係性に変化が出ました。人間関係がうまくいっていない時は仕事の分担にも影響が出ますよね。
ぜひ、そうならないように交渉術の原理を知って、より良い人間関係を築きましょう!
注意:悪用したり、仕事を無責任に丸投げしちゃダメですよ
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