軍に将たるの事は静にして以って幽なり(孫子の兵法に学ぶ)
君主は道を説き、将軍は指揮統率を行う
君主(王様)の命令って、絶対だと思う?
どうしたんですか突然。
立憲君主制なら王様が暴走しないようにその上に法律が存在したりするけど、昔はどうだったかどういうイメージなのかなって。
立憲君主制とは:立憲君主制または制限君主制とは、君主の権力が憲法により規制されている君主制。君主制とは、ある政治共同体において世襲の君主が主権を持つ政治形態(wikipedia)
中東の王様がいる中東の王国は絶対君主制ですよね。昔はアジアやヨーロッパでも王様が絶対的な存在だったのではないでしょうか。
イメージはそうだよね。でも実は紀元前の中国でも君主と将軍は役割がわかれていて、王の命令でも軍事の判断は将軍が合理的に判断をしていたりしたよ。
そうなんですか。
それをよく表しているエピソードを紹介するよ。
孫子姫兵を勒す
呉の王である闔閭(こうりょ)は孫武に対し、「先生の著作十三篇はすべて読んだが、宮中の婦人で少し軍の指揮を見せてもらうことはできましょうか?」と尋ねた。
孫武はこれを了承した。孫武は宮中の美女180人を集合させて二つの部隊とし、武器を持たせて整列させ、王が寵愛を受けていた姫二人を各隊の隊長に任命した。太鼓の合図で左や右を向くように命令してから「右!」と太鼓を打つと、女性たちは笑うばかりで統制は取れなかった。
孫武は「命令が不明確で徹底せざるは、将の罪なり」と言い、命令を何度も繰り返した後に「左!」と太鼓を打つと、また女性たちは笑っているばかりである。
孫武は「命令が既に明確なのに実行されないのは、指揮官の罪なり」と言って、隊長の二人を斬首しようとした。壇上で見ていた闔閭(こうりょ)は驚き「将軍の腕は既によくわかった。その姫を斬るのはやめてくれ」と止めようとしたが、孫武は「一たび将軍として任命を受けた以上、陣中にあっては君命でも従いかねる事がございます」と闔閭(こうりょ)の寵愛する姫を二人とも斬ってしまった。そして新たな隊長を選び号令を行うと、今度は女性部隊は命令どおり進退し、粛然声を出すものもなかった。
孫武は「兵は既に整いました。降りてきて見ていただきたい。水火の中へもゆくでしょう」と言ったが、闔閭(こうりょ)は甚だ不興で「将軍はそろそろ帰られるがよろしい、余はそこに行きたくはない」と言った。孫武は「王は言を好まれても、実践はできないのですね」と答えた。しかし以後、闔閭(こうりょ)は孫武の軍事の才を認めて将軍に任じたのである。
エピソード的にはちょっと怖いけどね。
時にはこういったリーダーシップが必要になる場面があるってことですね。
将軍の事は、静にして以って幽、正にして以って治む
このエピソードで表しているものは、孫子の兵法では次のように説かれています。
「将軍の事は、静にして以って幽、正にして以って治む」
現代訳としては、
将軍たるものは、どっしりと落ち着き払い、深くはかり知ることのできない智慧を持ち、公明正大で偏見のない判断力を持っている。よく自己を制御し得るものでなければならない。
というものです。
君主の思想的な考え方として孫氏の兵法では人間のあるべき姿やヒューマニズムを説いている部分もありますが、それだけでは戦いに勝ち続けることは出来ないとも言っているのです。
偏見なく、自己を抑え、合理的に判断する冷静さも必要なんですね。
組織運営をするなら、市場競争は避けて通れないからね。時には冷徹だと思われる判断も必要なんだよ。人を外したりしなきゃいけない時もあるよ。
考えただけで胃が痛くなりそうです。
冷徹な判断をするだけで胃が痛く?ちょっと何言っているかわかんないです。
ヒューマニズムの崩壊!!
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